こんにちは!
浴室環境アドバイザーの内田です。
今回は、最近爆発的に増えていると言われている「トコジラミ」について、なぜ最近になって日本で大発生しているのか、そしてどのようにしたら駆除や予防ができるのかを考えていきます。
私の世代で「シラミ」と聞くと白黒の映像で、上半身裸の子供たちが一列に並んで白い粉を頭にバーっとかけられている場面が浮かぶので(歳は聞かないでください…)、AIが世界を席巻するこの時代にトコジラミって💧とはじめは違和感しかなかったのですが、実はトコジラミはいわゆる「シラミ」ではなくカメムシなどと同属だそうです。(※下記参考文献1参照)
人間や動物の血を吸って生きているのでシラミという呼び方をされているような気がしますが、いずれにしても害虫であることは間違いありません。
■参考文献1(一部抜粋)
トコジラミは髪の毛や衣服などに住み着いて吸血するアタマジラミやケジラミ、コロモジラミなどとは、分類学上、全く異なるグループに属します。トコジラミは、セミ、カメムシ、ウンカ、アブラムシ、アメンボなどと同じカメムシ(半翅)目に属する昆虫です。また、トコジラミは、触れるとカメムシ類と同じようにいやな臭いを発します。
※参照元 (一財)日本環境衛生センター
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000074552.pdf
トコジラミが繁殖する原因について
気候の変動
トコジラミはもちろん、ダニなども「気温が高い&湿度が高い」季節に繁殖しやすくなります。
近年の世界的な地球温暖化による気温の上昇はもとより、年々日本の梅雨が長引く傾向にもなってきており、日本がもはや高温多湿の亜熱帯地方化しつつあることが、まずは根本的な原因のひとつではないかと思います。
住環境の問題
国土に対して人口が多い日本では家と家が密集しがちなので「窓を開けると目の前が隣の家の窓」というお宅も多いのではないでしょうか。
部屋の中を見られたくないのはもちちろん、会話のプライバシーの問題もあって「窓を開ける=換気や通風をする」ことが難しく室内に湿気がたまりやすいこと、また、布団よりベッドを使用する方が多くなりマットレスを簡単に干せないことも、トコジラミの発生や爆発的な拡散の原因になっている可能性があります。
海外旅行や個人輸入
コロナの収束に伴って海外との行き来が一気に増加しています。
その分トコジラミが諸外国から持ち込まれる機会が増えていることや、飛行機や電車、宿泊施設などもトコジラミが移動し得る場所になっていると思われます。
そして私が大好きなネットショッピング。
日本語のサイトでも商品が国外から送られてくることがよくあります。特に衣類や布製のものを購入した場合、海外から自宅に届いた商品自体にトコジラミやその卵が…ということも可能性として考えておいた方が良いと思います。
対策としては、届いた段ボールや袋は置きっぱなしにせず
⇒「すぐに浴室に持ち込み開封」
⇒「緩衝材やパッケージはそのままごみ袋へ」
⇒「布製の商品で洗えるものはそのまま洗濯機へ!」
というルーティンがおすすめです。もちろん段ボールはすぐに畳んで、資源ごみの日まではベランダなど屋外に出しておきましょう。
不衛生や物が多い部屋
トコジラミは不衛生な場所や物がたくさん重なりあっているような場所(昼間は家具や物の隙間に隠れています)が大好きです。
基本的な対策としては「できるだけ毎日掃除する」「床になるべく物を置かない(カーペットなども湿気の多い日本の住宅ではこまめなケアが必要です)」「棚や引き出しに物を詰め込みすぎない」など、お掃除や整理整頓が大事になります。
そしてこれはあくまでも個人的見解ではありますが、そもそも日本の住宅は狭い割に物がぎっしり詰まっているお宅が多いような気がします。
本当は古着や古家具などもリメイクして上手に生活に取り入れられたら良いのですが、なかなかそれができないほとんどの方々(=私)は現在使用していないものを思い切って処分する=断捨離!を極力心がけたいものです…
■参考文献2(一部抜粋)
ホームセンターや薬局などで販売されている多くのエアゾール剤や燻煙剤には、効能・効果としてハエ、蚊、ゴキブリの駆除などと共に「トコジラミの駆除」と書かれています。以前は、薬事法に基づく承認申請の際に、ゴキブリに対する効力が確認されていれば、トコジラミに対する効果も謳うことができました。その時点では、現在のような抵抗性問題は起きていませんでしたが、以前に承認された薬剤の中には、現在問題化している抵抗性トコジラミに対する効果がほとんど望めないものも数多くあります。
※参照元 (一財)日本環境衛生センター
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000074552.pdf
対策&予防 その1《掃除や薬品》
掃除機をかける
見えている床・移動できる家具の下や隙間・洗えないカーペットやフロアマットがある場合はその表面と忘れてはいけない裏側、などを徹底的に掃除機で吸引します。
カーペットには「重曹」を振りかけて一緒に吸い取ることもおすすめです。
(※ただし畳には使用しないでください。重曹はアルカリ性のため変色の原因になってしまうことがあります。)
除湿する
高温と同時にトコジラミ発生の大きな原因のひとつが「多湿」です。
湿度が高い時期にエアコンや除湿器で各部屋を常時適正な湿度&温度に保つことはとても有効な予防策だと思います。
その際に、特に湿気が溜まりやすいクローゼットや押入れの扉は、気になる季節には少し開けて部屋と一緒に極力乾燥させておくことをおすすめします。
そして風のある日に洗濯物が良く乾くように、実は除湿に大きな効果があるのが「空気の対流」です。
冷房効率を高めたり部屋干しの時にも便利な扇風機やサーキュレーターを作動させておくだけでもかなりの調湿になりますので、全室にエアコンは電気代が怖すぎる…!という方は是非扇風機なども活用してみてください。
トコジラミがいるのかを確認する
トコジラミは昼間は畳や家具の隙間にひそんでいて暗くなると出てきて吸血します。
部屋が明るいと見つけいくいのですが、一旦暗くして20分くらい経ってから部屋を明るくした時にベッドや布団の近くに出てくることがあるようです。もしも発見した場合は掃除機などで吸いとるのが良いと思います。
殺虫剤をまく
ん?かゆい…この噛み痕(赤い斑点がたくさんある)はもしかして!という時は、その原因になったと思われる場所や部屋の隅などに殺虫剤をまきます。
ただし最近では殺虫剤が効きにくい(抵抗性のある)個体が増えてきているようですので、効果についてはあまり期待できないかもしれません。(※上記参考文献2参照)
また殺虫剤を使用する場合は、お子様やペットが触ったり舐めたりしないよう十分な注意が必要です。
http://www.yu-kari.jp/
↑予防対策用としてはこういった安心安全な成分のものを使用してみるのもよいと思います(※広告ではありません)
駆除業者に依頼する
万が一、たくさんのトコジラミを見つけた!殺虫剤をまいたけど効果がない…という場合、専門の業者に駆除を依頼することを検討した方がよいかもしれません。
ただし、せっかく費用をかけて駆除してもらっても、そもそもの原因が改善されていなければまた同じようにトコジラミが発生してしまう可能性も高いので、駆除と同時に徹底的に予防対策をすることも大切だと思います。
■参考文献3(一部抜粋)
25℃における卵の期間は約5日、卵から成虫までの期間は約40日です。トコジラミは卵→幼虫→成虫と発育し、蛹の時期はありません。幼虫は5回の脱皮を経て成虫になります。成虫の寿命は長く、20℃程度では9~18カ月生存しますが、27℃では3~4カ月に短縮します。雌は1日当たり5~6卵をほぼ毎日産み続け、一生の間の産卵数は500個程度にもなります。
※参照元 (一財)日本環境衛生センター
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000074552.pdf
対策&予防 その2《洗濯や乾燥》
洗濯
衣類やタオル類はもちろん、寝具のカバーやカーテン、布製のバッグ、洗えるものであればフロアマットなど、極力こまめに洗濯して清潔を保つことは害虫の発生を防ぐ基本対策です。
ただし上記の注釈にあるように、トコジラミのメスは毎日卵を産み、その卵は5日程度で孵化するのでどんどん増えていきます。そして残念ながら卵は洗濯するだけでは死滅しません…!
アイロン
トコジラミやその卵は高温で死滅します。洗濯した後の衣類などに高温でアイロンをかけることはトコジラミの発生や繁殖の防止にとても有効です。
ただし、対策が必要な温暖な季節にすべての洗濯物にアイロンがけをするのはかなりの重労働になりそうです…
乾燥機
専用のガス式乾燥機などの他、洗濯機の乾燥機能も活用できますが、ドラムの中で洗濯物を回しながら乾燥するために若干のデメリットもあります。
① 厚さの違う洗濯物を同時に乾燥機に入れると乾きムラができる
② 綿素材はシワになってしまう
③ ウールや絹などのデリケートな素材は痛みや縮みが心配
④ 毛布やシーツなど大きいものは乾きにくい&乾きムラが気になる
⑤ ランニングコストですが、ガス式の場合は都市ガスかプロパンガスか&乾燥容量や機種(乾燥方法)によって、また電気式の場合も乾燥容量や機種によっても違いがありますので下記はあくまでも参考までに見ていただけたらと思います。
・ガス式/5㎏(約52分) 都市ガス 約52円
・ガス式/5㎏(約52分) プロパンガス 約81円
・ヒートポンプ式洗濯乾燥機/6kg(約127分) 約40円
・ヒータードラム式洗濯乾燥機/6kg(約150分) 約78円
・電気式乾燥機/4㎏(約120分) 約63円
浴室乾燥機
浴室での乾燥のいちばんのメリットは洗濯物を干した状態で乾かせることです。
また、特に「グラファイトヒーター(遠赤外線)」タイプだと一般的な温風式の乾燥機より本体周辺が高温になるので熱に弱いトコジラミ対策に、より期待が持てそうです。下記、浴室乾燥のメリットをまとめてみました。
① 厚みのあるジーンズなどは中心に、薄手のものは端にかけるとかなり均等に乾燥できる
② 綿素材でもシワにならない
③ ウールや絹などのデリケートな素材も乾燥可能
④ 毛布やシーツなど大きいものも広げたまま干せる
⑤ランニングコスト 1時間あたり約33円(※1Kwh/27円として)
天井用/100V仕様/グラファイトヒーター式/浴室換気乾燥暖房機/BF-261RGA
壁用/100V仕様/グラファイトヒーター式/浴室換気乾燥暖房機/BF-861RGA
浴室換気乾燥暖房機のメリット 続編
部屋干しからの解放
気候変動の影響もあるのか、年々長雨や豪雨や台風、花粉や黄砂や強風などで屋外に洗濯物を干せない日が増えてきている気がします。
仕方なく部屋干しをすると当然室内の湿度が上がります。トコジラミ対策で特に気をつけなければいけない「湿度」に影響がある部屋干しを避けるためにも、今後ますます乾燥機や浴室乾燥機の需要は高まっていくのではないかと思います。
その際にどんな機器を選ぶのかは悩みどころですが、ドラム式の乾燥機の場合は乾燥できるものと屋外や部屋に干すものを選別したり、乾燥でシワになってしまったものにアイロンをかけたりと、家事をする方の手間が増えがちになりますが、浴室乾燥では素材や厚みに関わらず全部一緒でOK。家事時間の短縮にもなります。
乾燥室のメリット
浴室乾燥機があるということは自宅に乾燥室があるということなので、そもそも浴室が常に乾燥していてカビの発生を抑えられる(=お掃除が楽)ことはもちろん、雨でぬれてしまった靴や傘、お子様の上履きなど、乾かしたいものをすべて一度にまとめて乾かせるという点でもとても便利です。
また、タイマーが切れたら自動停止するのは乾燥機と同じですが、浴室乾燥機なら帰り時間が遅い日でも、今日から旅行という日でも、干しっぱなしにできるのがとても楽です。
便利な「風乾燥」機能
グラファイトヒータータイプの浴室乾燥機には風乾燥という機能があります。
暖房を使用せず「送風+換気」で乾燥させるため電気代が1時間あたりなんと約1.2円。
夜から朝まで仮に10時間使用してもコストは10円程度なので、部屋干しをしてその下で除湿器を使う、などと比較してもメリットが大きいと思います。
まとめ
室内管理
まずはトコジラミが発生しにくい住環境を整えることが大事です。
居住スペースの対策としてはエアコンや除湿器を適宜活用して、窓を閉めていても温度および湿度が上がりすぎないようにすること、同時に、調湿効果の高い扇風機やサーキュレーターを併用して、常に室内の空気が対流している状態にすることもおすすめです。
また、ソファや寝室など、人が長時間過ごしたり布製品が多い場所では、こまめなお掃除やリネン類の洗濯で常に清潔に保つことが効果的な予防対策になります。
洗濯と乾燥
乾燥機や浴室乾燥暖房機を導入して部屋干しを避けることで、洗濯物による湿気の問題はほぼ解決します。
1年中365日どんな天候でも使用できることと、特に浴室乾燥暖房機の場合は干す場所が浴室内で、さらに湿気を含む排気は屋外に出していますので、浴室はもちろん脱衣所の湿度対策にも役立ちます。
(※浴室乾燥時は、空気の対流を確保するためにドア下のガラリや、ない場合はドア自体を少し開けます。そのため脱衣所内の湿度も同時に軽減されることになります。)
ご家族やお子様がトコジラミの被害にあわないためにも、是非、早めに住環境や浴室環境の見直しをしてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。